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2011年7月29日 (金)

パリ大学に留学ぅ~、ソルボンヌ大学に留学ぅ~ フランスの大学校事情

 むかぁ~し、昔、「わたし、パリのソルボンヌ大学で学びました」みたいなことを仰る御仁に、ははぁ~っとひれ伏してた時期があった。

 「世界が憧れる花のおフランス」で学業を修めるなんて、それはそれは大層なことに見えてたものだ。

 その頃はそもそも、講座をとることと学部履修卒業証明書をとることの区別すらついてなかった。

 講座を受講するだけなら誰にでもできる。しかもその中には、単にフランス語のお勉強をするだけの講座もある。

 我ながらアホじゃった orz

 昨今、パリで中国人留学生が激増していると聞く。中国でよその国の大学の価値が上がったんだろうか。入学に当たってよろしくない噂も聞くが、それが事実かどうか裏取りはしてないから書かないけど。

 フランスには、高校卒業資格のための Baccalauréat(通称バック)という卒業試験制度がある。

 これを通過すれば一般大学ならどこにでも入れる。ソルボンヌ大だろうがパリ大だろうが、誰でも行ける。

 ゴメン、正確な意味合いでは、「ソルボンヌ大学」にも「パリ大」にも入れない。

 存在しないので。

 と、それから、「誰でも」というのは競争試験がないという意味で、大学入学に当たって書類選考はある。
 また、バックは統一的なものではなく、人文系とか科学系とか工業系とか、複数の系統がある。

 パリには13の大学があり、それぞれに名前と番号が付いている。日本人が一般に言う「ソルボンヌ大学」は、パリ第4大学。

 今年のバック合格率は70%台半ば。高校生の七割以上が大学に進学できる。

 勿論、入れるだけであって、年度ごとの履修試験は厳しい。誰でも卒業資格を取れるわけじゃない。

 日本人にはヤワに見える文学みたいな課程でも、一年目で半数が落第する。落第が許されるのは一回限り。二度落第したヤツは転進を余儀なくされる。

 ここが日本と大きく違うところ。間口は広く開放しているけど、卒業証書取得にはそれなりの力が要求される。

 ちょっと面白いので付け加えると、人間相手の医学部には競争試験なしに入学できるけれど、獣医大学はGrandes Écoles という分類。バックとは別に、その大学校独自の入学試験を通過せねばならない。

 フランスでエリートを目指す者は誰でも入れる一般大学なんかには目もくれない。

 Grandes Écoles グラン・ゼコール、元来特権階級が学ぶためのものだった専門技術学校を目指す。
 (別記事、「フランス閣僚の学歴」参照)

 Grandes Écoles ではそれぞれ独自の入試を課す。日本の競争入試方式である。

 Grandes Écoles の中の白眉が、理工学系の最高峰 École Polytechnique エコール・ポリテクニック。

 出自は軍人エリート育成のために作られた大学校で、現在は国防省管轄。日本では「理工科学校/大学」と訳されているようだが、polytechnique というのは文字通り訳せば「多技能」。

 そのÉcole Polytechnique と並ぶ文系最高峰がÉcole Normale Superieure エコール・ノルマル・シュペリウール。
 高等師範学校と和訳されてるが、このNormaleってのがどういう意味か、わし、今に至るまで分かってない。

 この二つの大学校卒業生は自他共に認める超々エリートで、特殊な同窓意識を持ち、それは即座に、社会に出てから自動的にエリート人脈を手中にできることにつながる。

 ENA(行政学院)、シアンス・ポ(Science Po:政治学院)やHEC(高等商科学院)も有名所。その他、鉱山技術とか、海洋関係のGrandes Écoles とか数々あり、いずれも一般総合大学なんかよりステータスが高いのが日本とは大きく異なる。

 フランスの求職では、「資格証明書」がモノを言う。求職票に、大学に限らず「xx専門学校でxxを履修した」と、どれだけ書き並べられるかが勝負。

 中退した連中には、当たり前だけど、卒業証明書は発行されないから、bac=高卒資格しか残らない。それでも履歴書には「xx大学で○○を2年履修」みたいな書き方はできる。

 が、捨てる神あれば拾う神あり。裏技は、ある。
 他の国の大学で資格証明を取るという手段。

 どこの国のどんな大学でも良いというわけではないんだろうが、たとえば東ヨーロッパのどこかの国で医学を修め(diplôme 資格取得でき)れば、フランス内で医者開業することも可能なのだ。

 フランスではもう長いこと若年者の失業が社会問題になっている。その中には、大学卒業にまで至れなかった連中の数が圧倒的に多いんじゃないかな。

 それではGrandes Écoles 出た連中も同じように就職難なのかそうでないのか、そこまでは知らない。

 (後日追記: École Polytechnique卒にすら就職難の波は押し寄せていて、求職票の書き方を教えるのが大変なんだそうな。なにしろ彼ら、企業の側から頭を下げてお願いに来ると信じてたんで、求職活動の必要性なんて考えたこともなかったろうからなあ)

 「世界で最も良い最高学府200」にフランス教育機関が5つランク・イン

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