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2011年10月28日 (金)

お葬式 ボルドーにて その2 Cremation 火葬

 教会での葬儀が終了し、棺を乗せた車が走り出した。後を付いていった。

 小さな村を幾つも通り過ぎた。随分長い距離だったような気がするのだが、一時間も走りはしなかった。

 車は火葬場に向かっていた。

 死者の復活を信じるキリスト教では土葬が一般である。それでもフランスでは、未だマイナーとは言え、火葬も少しずつ広まってきている。

 日本では、火葬場で骨拾いという儀式があるが、フランスではそういうものはない。完全焼却で灰しか残らない。

 沢山の人が火葬場まで一緒に来ていた。

 火葬場の雰囲気は、日本とはまるで違っていた。一つの遺体に対して一つの小さなホールが用意されている。参列者はずらりと並べられた椅子に座る。
 ホールの奥手には、簡単な緞帳のようなカーテンがあり、その前に棺は置かれた。

 カーテンの向こう側が焼却炉なのだろう。

 ここでまた、神父のような人が出てきて何やら話し始めた。

 途中何度か参列者の一部が座席から離れ棺の周りに立って、何やら動作をしながら、何やら唱えていた。

 ぼくのフランス語能力では、何を喋っているのかさっぱり分からなかったが、どうやらここで行うのが告別の儀式らしい。

 教会で行うのは神父によるイニシエーションで、この火葬場で行われるのは、故人に対するオマージュ。何となくそんな感じがした。自信は、ない。

 いよいよ最後。参列者の皆さんは順繰りに、「元気でな」てな風に棺に軽く手を当てていった。

 ぼくは、棺には手を当てず、上体傾斜三十度ほどでのお辞儀をした。

 皆の挨拶が終わり、未亡人が佇む前で、棺がカーテンの向こう側に静かに滑っていった。

 向こう側へ行ってしまった彼の笑顔、今でも、鮮やかに蘇る。

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