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2012年1月18日 (水)

先達はあらま欲しきもの…ではあるけれど

 洗濯物のアイロン掛けをしてる時と車の運転してる時、しょっちゅうこの言葉を思い出す。

 理由を書けば、馬鹿にされるだろうな。

 四半世紀前、初めてこの国に赴任する時、ぼくはペーパードライバーに毛が生えた程度だった。高速道路の運転経験はなかった。

 たまたま乗ったタクシーの運転手に、これから欧州で暮らすことになるが車の運転に自信がない、どうしたらよいかと尋ねたら、その運ちゃん、簡潔に答えてくれた。

 「お客さん、それなら、とにかく前だけ見て運転しなさい。その他のことは他の車が避けてくれますよ。」

 このアドバイスに、ぼくは今でも深く感謝している。

 二つ目は、たまたま見たNHKの「おしゃれ工房」という番組でやってたアイロン掛け。

 「アイロン掛ける前に、こう、手アイロンで皺を伸ばします」

 は、そうであったのか。

 四半世紀前、出勤前にカッターシャツに毎朝アイロン掛けしてた。シワシワの部分もアイロンを掛ければピンとなると思って何も考えずにそのままアイロンを掛けたら、皺がそのままプレスされた状態になって困ったことが何度もあった。

 へ?ちょっと引っ張ってから手で撫でて、皺のない状態を作ってアイロン掛けすれば良いのか。

 今回赴任時、やってみたら、実にうまくいった。

 どちらも知ってるヒトには実に馬鹿馬鹿しく下らないことだろう。でも、コツというのはそういう、ほんのちょっとしたものなのだ。

 詳しくは書けないけど、ぼくが購買部門にいた頃、中国の部品メーカーに発注したけどどうしてもうまくいかない工程があって不良品しかできなかったことがある。思い余って日本の既存取引先にコツを聞いたら、簡単に解決してしまった。

 それが、良かったことなのかどうか。こいつは「馬鹿馬鹿しく下らない」ことでは、決して、ない。その部品メーカーさんも随分苦しんでその方式を編み出したのだ。実に応用範囲の広いその「コツ」が簡単に中国の一企業に移転されてしまった。

 ウチがやらなくても、早晩どこかの日本企業がそれを教えただろう。

 敗戦直後の日本は全てアメリカさんに教えを請うた。アメリカ企業さんは出し惜しみして、肝心なコツを何一つ教えてくれなかったらしい。それを、コツコツと自分たちで解決していった諸先輩方を、ぼくは尊敬する。

 ぼくみたいに、たまたま見聞きしてうまくいった、というのとは、価値が違う。

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