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2012年6月14日 (木)

帰国便 その2

 世の中には、幸運な人とそうでない人がいる。断言するほどの根拠は持ち合わせていないが。

 さりながら、ひょっとすると幸運はいつもシャワーのように万人に等しく降り注いできていて、それをちゃんと掴めるかどうかという能力の差があるだけなんじゃないだろうか、ふとそう思うことも、ある。

 本帰国便、19:30パリ発JL407に乗り込むという段になり、驚くべきことに、ファーストクラスに案内された。

 本日満席で、こちら側に押し出されたらしい。そのような幸運な人の話を聞いたことはあったが、まさか我が身にそれが舞い降りてこようとは夢想だにしなかった。

 最初に行ったのは、当然、お飲み物リストの点検。
 あるわあるわ!

    シャンパーニュ サロン1999
    シャンパーニュ ドン・ペリニヨン2003
    [ブルゴーニュ]ドメーヌ・デュ・パヴィヨン コルトン・シャルルマーニュ グラン・クリュ 2007
    [アルザス] ギュスターヴ・ロレンツ ピノ・グリ グラン・クリュ・カンツェラーベルク2005
    [ドイツ] ワイングート・ザンクト・ウルバン・ホフ ウィルティンガー・アルテ・レーベン リースリング・キャビネット ファインエルブ2010
    [勝沼] アルガブランカ ヴィニャル・イセハラ2010
    [ボルドー] シャトー・ローザン・セグラ マルゴ2007
    [ブルゴーニュ] ドメーヌ・ミッシェル・グロ ニュイ・サン・ジョルジュ 2006
    [ニュージーランド] クスダ ワインズ シラー マーティンボロー2009
    飛露喜 純米大吟醸
    伯楽星 純米大吟醸
    本格焼酎 森伊蔵
    焼酎屋兼八

 勿論、完全制覇を目指さねば、せっかくの幸運に申し訳が立たない。

 飛行機が滑走路を飛び立ち、ほどなく夕食の準備が始まる。

 それを待つ間、先ずはシャンパーニュを二種類。そしてマルゴー。

 機内食はこれまで、アントレからデザートまで一つのトレーにまとめて乗せられたものしか経験がなかったが、さすがにファーストクラスである。先ずアントレが出され、その後にメインと、別々に出てくる。

 メインには鴨肉を頼み、まずアントレを賞味する。
 ナイフが子供用みたいに先が丸くなっているのが、何かしらもの悲しかった。エアフォース・ワンの中で米国大統領が食事をするときも、やっぱりこのように先が丸まったナイフを使うのだろうか。

 記憶があるのはそこまでである。

 ふと目がさめた。カレーのにおいのせいだったのだろうか。

 シートがフラットになっている。窓のシャッターを下ろされた機内は暗かったが、外は明るいようだ。食事をとっている人影が見えた。

 時計を確認すると、成田着まであと二時間少々。日本では昼食の時間帯だ。

 状況から察するに、ぼくはアントレを食した後、あるいはその最中のいずれかで眠り込んでしまったらしい。
 スチュワーデスがシートを倒し、毛布を掛けてくれたのだろう。

 起き上がったぼくを見て、スチュワーデスが来て、「私どもの夕食の準備が遅かったので、お客様、既にお休みになってしまって」と言う。

 飯が遅かったからふて寝したわけではない。子供じゃあるまいし。

 それにしても、眠気を覚えたという記憶がない。突如すとんと寝入ってしまったようだ。クルマの運転中でなくて良かった。

 よろしければご注文頂いた鴨料理が調理済みで冷凍保存してありますけどと言われ、腹が減っていたわけではないが、出してもらった。少し堅かったが、それはJALのせいではない。 

 そういうわけで、せっかくの僥倖を殆ど満喫することなく、ファーストクラスの空の旅は、ただひたすら眠りこけて過ごしてしまった。

 そして帰国後一週間ほど、実に久しぶりにひどいジェットラグに悩まされ続けることになる。

 それは仕方ないとしても、あのリストにあった酒類を存分に楽しめなかったことだけが、未だに心残りなのである。 

 

 

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