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2012年8月 4日 (土)

フランス人は手を洗わないか

 風呂、ときたなら、当然次は手洗い。

 四半世紀前、トイレから出てきたフランス人が手を洗う光景を見た記憶が殆ど無い。

 奴等はしょっちゅう握手してるから、他人の手をウェットタオルと見なしてたのだろうか。

 でも、握手した相手がやっぱりトイレから出たとこだったら・・・。

 あ、そうだ、奴等の解決策は握手だけじゃない。やたら抱きつくのが好きだと思ってたら、相手の服でも手を拭いてるんだ。なるほど、そーゆーことだったのか。

 その昔、若いパリジェンヌが公園の灌木の陰で用を足している場面を目撃したことがある。

 そこは、長く広く続く植え込み、という風ではなく、低く茂っている木がぽつりぽつりと点在しているような場所だった。

 彼女がそそくさと灌木の根っこの方に姿を隠すと、その傍らで若い兄ちゃんが、ガードするような感じで辺りを見回していた。

 そのお嬢さんが木陰から出てくると、二人は手をつないでそこを立ち去っていった。

 近くに水道なんぞありゃしないが、そんなことは歯牙にも掛けぬ、若い二人の微笑ましい光景であったのであったのである。

 そんなもん見たのは一回こっきりだから、これを以て「パリジェンヌはみーんな野外でオシッコするんだよ」なんて吹聴する気はもとよりない。

 が、しかーし、こんな話も聞いた。

 大学あたりで宴会というかフェスティバルみたいなものを夜にやって、しこたまアルコールを仕込んだ女子学生が野外で尿意を催すと、周囲に数人の仲間がスカートで円陣の幕を張ってやり、その真ん中で用を足すということはあるよ、と。

 ニュースソースは一人だけだから、これまた普遍化して声高に叫ぶつもりもないが、そういう事象があったということだけは事実なのであろう。

 ヴェルサイユ宮の伝統は脈々と受け継がれているものなのであるなと、その話を聞いた時は目を点にして感動し、ひっくり返りそうになったものである。

 話を戻そう。

 2009年暮れ辺りを境に、手洗いするフランス人を目にする機会が急激に増えてきた。

 当時流行の兆しを見せていた「新型インフルエンザ」予防策の一つとして、手洗い励行をマスコミが呼びかけたのが功を奏したんだろうか。

 時を同じくして、業務用タオルや温風乾燥機が公衆トイレにようやく整備されてきた。この効果は無視できないだろう。

 日本人は濡れた手をハンカチで拭く。これは常識。たまに服やズボンで拭う奴がいるにしても。

 がフランス人にとって、何しろハンカチというものは洟をかむものであるからして、手をそれで拭くわけにはいかない。ハンカチの中にこびりついているのはパリパリに乾燥した洟である。

 斯様な設備が整って、ようやくフランス人も安心して手を洗うようになったという次第であろうか。(それがウソかマコトか、書いてる本人も首をかしげてるんだから、読んでる方は180度くらい首をかしげてるだろうな)

 そのハンカチで洟をかむという行為、四半世紀前のフランスでは間違いなく常識だったのだが、今般知人と食事をしている最中にハンカチで洟をかんだら、「今どきそんなことしてたら時代遅れのロートルだと嗤われるよ」と嗤われた。

 今回の赴任では何故だか周囲で洟をかんでいる場面に殆ど遭遇しなかったので、そのご指摘が正しいのか否か、正直言ってぼくには分からない。

 郷に入っては郷に従えと言う。

 郷に従うつもりがあるのなら、どこかで読んだり聞いたりしたことは一応尊重しながらも、自分の目で周囲をよく観察しながら行動するのがよろしかろう。常識と呼ばれているものは時間と共に変化していく。

 昔々の見聞録がそのまま丸ごと今の時代に生き続けていると頭から信じ切ってると、時として裏切られることもある。

 

 

 

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