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2012年10月 9日 (火)

切り刻まれる脳

 脳科学の進歩とは素晴らしいもので、脳のそれぞれの部位のはたらきが逐次解明されていっているらしい。

 言い換えれば、ヒトを思い通りに反射させるにはどこをどのように刺激すればよいかという応用が可能になるわけで、どのような味が「おいしい」として知覚されるのかとか、どういう情報表示の仕方が記憶に残りやすいのかなどという研究が進んでいるという。

 人間をまるごと一箇の個体と見るのではなく、そこからカネを吸い上げる対象群としてのみ扱う商魂にとって、これほどありがたいことはなかろう。

 食物を美味しいと感じるのは、健全健康な肉体がそれを欲しているからなのであり、不味いというのは自分にとってそれが危険なものだというシグナルとなる仕組みは、数千年掛けて蓄積されてきたDNAの記憶の賜だとぼくは信じているのだが、そのような記憶を騙してしまう合成化学物質が登場するのはそう遠い将来でもなさそうだ。

 その結果がどうなるかは目に見えている。ぼくらはもはや、農産物や魚をそのままで食することはなくなり、口にするものは全て画一的な工場生産品に取って代わられていくのだろう。これまで鶏や猫や犬に与えていたものを、今度はぼくら人間が摂取する番になる。

 もともと食べるという行為にそれほど興味のないぼくで、一日一箇の錠剤で食事を済ませられるならどんなにか便利だろうと夢見ていたが、過日ご紹介したモンサント社のような存在を知ってしまうと、あまり手放しでは喜べそうにない。

 記憶に残る情報表示の仕方というのは、多分色や形の配分配列と、場合によっては聴覚刺激を含めた総合芸術になるんだろうが、本人の好むと好まざるとに拘わらず脳の中に特定情報を押し込めていくというのであれば、サブリミナルとどこが異なるんだろう。

 ロボトミーは野蛮だということになっているが、それは物理的切除を行うからで、薬物で特定の脳分野の機能を止めてしまうなら、みんなそれほど抵抗感を持たないのだろうか。

 脳を刺激するという目的なら、ひょっとすると化学物質すら必要でなく、特定周波数の電磁波を照射すればよい、そういう時代に既に入っているのかもしれないのだけど。

 

 

 

 

 

 

 

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