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2012年12月28日 (金)

フランス高級料理店のシェフ

 FR2で興味深い報道があったので、ご紹介。

 トップと呼ばれる料理長たち。

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 稼ぎの順位としては、以下のようになっているそうな。

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 トップに鎮座ましますアラン・デュカスのBenoitという店に、それとは知らずに行ったことがあって、そのご紹介をまだしてないことに今気付いてしまったが、それはともかく…

 このアラン・デュカスは、今ではぼくらがイメージする厨房内で指揮を執る、いわゆる料理長ではない。

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 コック帽の代わりにネクタイを締め、店の味のチェックをして回っている。

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 それもそのはず、彼の店は世界中にわんさとあるのだ。

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 体は一つ。厨房に入っていたのでは沢山の店をやっていけるはずがない。
 自ら厨房に入る代わりに、レシピ通りの味が保たれているかどうかをチェックして回るしかないだろう。

 自分が丹精込めて作った料理を人様に喜んでもらえるのを自らの喜びとする姿勢があってこそ本物の料理人だ、とのご高説もあろうが、それは哲学とか思想の問題である。ひょいと食堂に入り、出てきた料理を食するだけの一般客にそんな姿勢が分かるものかどうか。

 それよりなにより、このアラン・デュカスが沢山の店を出す動機がどうであったかこのニュースでは直接には触れなかったが、一般論として、高級料理店がその店で出す料理だけでやっていこうとしても、経営が成り立たず早晩破産すると評論家が述べていた。

 そういう店の経験は極めて乏しいぼくではあるが、その乏しい経験からも、その評論家の言葉には頷かざるを得ない。

 アンジェのLe Favre d'Anne はワイン込みの夕食が二万円近くになってしまったのだが、贅沢な雰囲気を醸し出す、本当に素晴らしい食堂だった(あ、この店も是非紹介しようと思いながら未だ書いてないな)。安くはない料金だったけど、それでも、これでこの店はやっていけるのだろうかと余計な心配をしてしまったほどだった。

 それに関係しているのかどうかぼくには知る由もないが、中核となる店でドーンと名を売り、そこは高級店としてキープしながら、ちいとお安くしたセカンド店を出すという手法を使っている有名シェフもいる。

 また、安売りスーパーと提携して食材その他を提供するシェフもいる。

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 しっかし、なあ、これ「有名」の安売りじゃないの?そんなことしてていいんだろうか。

 スーパーマーケットの中でインタビューに答えた御仁が、「このパック食材、悪くはないけど、(有名シェフの名前が冠されている割には)ちょっとがっかり」なんて言ってた。

 ロブションのパック食材には何度かお世話になった。初めて食べた時は、なるほど他のいわゆるヤスモノとはちょっと違うかなと感心したが、すぐに飽きてしまった。

 たまーに喰うものと、しょっちゅう喰うものでは、「おいしさ」の定義が異なるのである。トゥール・ダルジャンの鴨のオレンジ煮を毎週食べてみるがいい。純粋日本人なら三週目くらいでギブ・アップする。

 「高級レストラン」というのは「非日常」を演出するところである。だから正装して出かける。

 だから、カネ払うんだからオレは客だ!みたいな連中や、ぎゃーぎゃー騒ぐぱーぷーねーちゃん達は、そういう場所に決して足を踏み入れてはならない。テーブルマナーなんてもの以前の問題。

 誤解のないよう申し添えるけど、「高級レストラン」と「高額レストラン」は似て非なるもの。高級でない高額レストランには、えらそーにしたぎゃーぎゃー騒ぐおねーちゃんたち、どんどん行ってあげて下さい。そういう店はカネだけが目的だから、一番高い料理と一番高いワインを注文すれば、きっと丁重に扱ってくれる…と…思う。保証はせんけど。

 思いを巡らせてみれば、沢山の人に美味しい料理を提供したいという内なるパトスに突き動かされた人々が皆、ミシュランの三つ星を狙うわけでもなかろう。

 星取りを狙うのは、やっぱり野心家。

 そういう意味合いでは、高級レストランの有名シェフが手広くやっていこうとするのは不思議でもなんでもない。

 サラリーマン社会で言えば、ひた走るべき出世街道みたいなもんだが、その側道で、淡々と自分の道を追求しようという人々も、それに触発されて出てくる。

 そういうフランスでありパリだからこそ、「フランス=料理」ブランドにぶら下がって小銭を稼ごうとする観光客目当ての手合いもいれば、ぶらりと入ってみて「あれっ?結構おいしい」てなサプライズのある店もある。

 食通でないぼくみたいな朴念仁にとっても結構面白いそんなコントラストが、パリにはある。

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