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2013年3月19日 (火)

梅の里 川売(かおれ) その2

 段々畑になった土地のゆるゆるとした細い坂道を歩いて行くと、右も左も梅が満開。

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 「梅の畑に入らないでください」と書かれた札が目に入る。

 ここでは梅の木は、梅の実を収穫するためのもの。梅林公園ではないのである。

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   だから、公園の植木のようにお行儀良くすらりと天を突いて立っている木は無い。どれも荒々しく横手へ枝を伸ばしている。 

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  小さな売店があった。

 梅干しや漬け物などを並べている。

 おそらく二十戸もないだろうこんな小さな村落へ、平生買い物客が来るとは思えない。この時期、「梅祭り」の期間中だけ、観光客相手に商いをしているのだろう。そのような出店が他に三つ、四つあった。

 もちろん試食は自由。

 「ここへ来た思い出に一口摘んでいって」というおかーさんの呼び声に(幸か不幸か、色香ではない)についふらふらと摘んでみたらっきょう漬けの、その美味しいこと。

 思わず財布から五百円取り出そうとする自分を、いやいや、そんなもんは後から買うたらええねん、と自粛抑制し、今少し道を続ける。

 絶好の好天。その上寒さを感じさせない程度の冷たさを含んだ風がいかにも心地よい。

 ここで見る梅の花は、本当に掛け値なしに、全てが張りを持って艶々している。

 「どうしてこんなにみんな、どれもこれも花弁一枚一枚全てが生き生きしてるんだろう」

 この日ぼくは立ち止まるって梅の花を見上げる度に、何度も独り呟いていた。

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 露天で梅干しやら何やらを並べて座っているばーちゃんがいた。

 道に面したちょっとした空き地に、幾ばくかの品物を並べているだけ。しょーばいなんて雰囲気はかけらほどもない。実際、立ち寄る観光客も殆どいなかった。

 ふと足を止めて乏しくも並べられている物産をのぞき込むと、「種抜きの梅干し、美味しいよ」と、ばーちゃんがたどたどしく声を掛けてきた。

 どれどれとひとかけら口に放り込んでみると、しょっぱい!

 「これ、お茶に入れると、おいしいよ」と、ばーちゃんは、やっぱりたどたどしく言った。

 世は挙げて減塩ブーム。梅干しまでが「減塩」を謳っている。       

 「減塩梅干しって、本末転倒、なんか間違ってね?」と大いなる疑問を抱き続けているぼくであるからして、この種無し塩じゃりじゃりの乾燥梅干し、ワシが買わんで誰が買う!みたいな、アホですな、へんな義侠心に駆られ、「んじゃ、これ一つ頂戴」。

 その種無し梅の横、ざるにのせられひなたぼっこしている梅があった。

 これ、何?と聞くと、梅干し漬けにしていた梅の実の中で、ぐずぐずに柔らかくなってしまったもの、即ち、梅干し漬けとして売り物にならないのを天日で干して種を取り、からからに乾燥させるのだという。

 ん?てことは、ぼくが買い求めたものがそれに当たるわけで、これはいわば、アウトレットの再生産物であったのか。

 ま、ええやろ。

 ふと目を転じると、チョロギがあった。ばーちゃん、もうこれ一袋しか残ってないと言う。

 短い期間だったけどチョロギって、結構話題になったよなと、ついでにそいつも一袋。

 ばーちゃんが露天売りしている場所の、道を挟んで反対側の傾斜下を見ると、梅が乾されていた。
 見事に大粒の梅の実である。

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  白いビニール袋をぶら下げて、ぷらぷら歩きを続ける。

 まだ一時間も歩いていないというのに、喉が渇いてきた。

 悪たれ呑み仲間たちとどこかに出かければ、いつも決まって、「取り敢えずビールでも飲もか」ということになるのだが、これまで見掛けた小さな販売所には、「ビール」のお品書きは見つからなかった。

 こんなに清々としたところで梅の花を眺めながら道端に腰掛けて飲むビールはどんなにおいしかろうかと、独り歩きながら無い物ねだりをする。

 

 

 

 

 

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