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2014年12月23日 (火)

青色光に殺虫力が

 波長の短い紫外線に殺菌効果があることは誰でも知っているが、遙かに波長の長い青色光に昆虫を殺す働きがあるとの研究成果が発表された。

 詳しくは東北大学のプレスリリースを一読頂くとして、青色LEDチームが耳目を集めている中、実にタイミングの良い発表だ。時機をうかがっていたのかな? 

 明るさは距離の二乗に反比例するので、殺虫剤に取って代わるのはまだ先のことだろうが、モンサント社はこのニュースにどう反応するんだろう。

 昆虫の種類によって殺虫効力のある波長が微妙に違うというから、研究が進めば応用範囲も広がることだろう。

 殺虫のメカニズムは、特定の波長の光が体内に蓄積することで活性酸素が生じ、組織や細胞が破壊されるのだろうと推測されている。

 活性酸素と聞いて少し怖くなった。ヒトの体は昆虫とは異なるから太陽の光を浴びて死んでしまうわけではないが、青色LEDがどうやら目にはよろしくないようだという説と関連があるのだろうか。

 以下は、プレスリリースのコピペ。

 

 2014 12 9

報道機関 各位 
東北大学大学院農学研究科

青色光を当てると昆虫が死ぬことを発見 
(新たな害虫防除技術の開発に期待)

<概要>

 東北大学大学院農学研究科の堀雅敏准教授の研究グループは、青色光を当てると昆虫が死ぬことを発見しました。紫外線の中でも波長が短いUVCUVBは生物に対して強い毒性をもつことが知られています。しかし、比較的複雑な動物に対しては、長波長の紫外線(UVA)でも致死させるほどの強い毒性は知られていません。一般的に、光は波長が短いほど生物への殺傷力が強くなります。よって、紫外線よりも波長の長い可視光が昆虫のような動物に対して致死効果があるとは考えられていませんでした。さらに、この研究で、ある種の昆虫では、紫外線よりも青色光のほうが強い殺虫効果が得られること、また、昆虫の種により効果的な光の波長が異なることも明らかになりました。本研究成果は青色光を当てるだけで殺虫できる新たな技術の開発につながるだけでなく、可視光の生体への影響を明らかにする上でも役立つと考えられます。

 本研究の一部は、農林水産省委託研究プロジェクト「生物の光応答メカニズムの解明と省エネルギー、コスト削減技術の開発」および日本学術振興会科学研究費補助金によってサポートされました。 この成果は、2014 129日に英国Nature Publishing Groupのオンライン科学雑誌「Scientific Reports」に掲載されました。

<説明>

1.背景:

 可視光が生体に与える影響を明らかにすることは、可視光の新たな利用法の開発や可視光の曝露が生体に与える傷害を評価する上できわめて重要です。しかし、可視光の生物に対する毒性に関してはあまり知られていません。最近の研究により波長が短い可視光(400500nmの光、いわゆる青色光)がヒトの目に傷害を与えることが明らかになってきましたが、昆虫を含め比較的複雑な動物に対する可視光の致死効果はこれまでに報告されておりません。一方で、UVC100280nm)やUVB280315nm)といった波長の短い紫外線は生物に対して強い毒性があることが知られており、昆虫や微生物もこれらを当てると死亡します。しかし、これより長い波長の紫外線(UVA315400nm)に関しては、昆虫に対する明らかな致死効果は報告されておりません。光は波長が短いほど生物に対する毒性が大きいことから、可視光を当てるだけで昆虫のような比較的高等な動物が死ぬとは全く考えられておりませんでした。本研究による発見は、これまでの常識を覆すもので、可視光の昆虫に対する強い毒性を示すものです。

2.研究内容:

 様々な波長の LED 光を昆虫に当てて、殺虫効果を調べました。 
 最初に、378732nm(長波長紫外線~近赤外光)に渡る様々な波長のLED光の下にショウジョウバエの蛹を置き、羽化できずに死亡した蛹の割合を調べました。LEDの光の強さは直射日光に含まれる青色光の3分の1程度としました。その結果、青色光を当てた蛹は羽化できずに死亡しました(図1)。青色光の中でも効果の高い波長と効果の低い波長があり、440nm467nm2つの波長が高い効果を示しました。そこで、卵、幼虫、成虫に対しても467nmの光の殺虫効果を調べたところ、いずれも照射により死亡しました。 次に、蚊(チカイエカ)の蛹に対する青色光の殺虫効果を調べました。蚊も青色光を当てると死亡しました(図2)。しかし、効果の高い波長は417nm1つだけで、ショウジョウバエと異なっていました。また、蚊はショウジョウバエよりも青色光に強く、全ての蚊を殺すには、直射日光に含まれる青色光の1.5倍程度の光の強さを必要としました。 417nmの殺虫効果は卵でも認められました。
 
青色光の殺虫効果を、小麦粉などの大害虫であるヒラタコクヌストモドキの蛹でも調べたところ、非常に高い殺虫効果が認められ、直射日光の5分の1から4分の1程度の光の強さで、全ての蛹が死亡しました。

3.明らかになったこと

 青色光は様々な昆虫種に対して殺虫効果を示します。また、その効果は卵、幼虫、蛹、成虫のいずれの発育段階でも得られます。ただし、青色光であっても効果的な波長は昆虫の種により異なっております。また、ショウジョウバエのように、ある種の昆虫にとっては、紫外線よりも青色光のほうが高い殺虫効果を示し、動物に対する光の致死効果は波長が短いほど大きいという従来の考えには当てはまらない動物種の存在が明らかになりました。

4.推測される青色光の殺虫メカニズム

 昆虫の種により有効波長が異なることから、その殺虫効果はヒトの目に対する傷害メカニズムに似ていると推測しています。すなわち、種によって吸収しやすい光の波長が異なり、これによって、種により異なる波長の光が昆虫の内部組織に吸収され、活性酸素が生じ、細胞や組織が傷害を受け死亡すると推測していいます(図3)。

5.波及効果

 例えば、青色のLED光などを害虫の発生している場所に当てることで、簡単に殺虫できる害虫防除装置の開発が期待できます。波長を工夫することで、衛生害虫、農業害虫、貯穀害虫、畜産害虫など様々な害虫に適用できるクリーンな殺虫技術になる可能性があります。また、青色光やそれに起因する活性酸素の生体への影響を評価する研究にも、今後、役立つと考えられます。

 

1 ショウジョウバエ蛹に対する青色光の殺虫効果 

2 チカイエカ蛹に対する青色光の殺虫効果 

3 推測される青色光の殺虫メカニズム

 

 

 

 

 

 

 

 

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