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2018年9月 9日 (日)

「土左日記を読みなおす」 小松英雄著

 「土佐日記」ではなく正しくは「土左日記」らしい。

をとこもすなる日記といふものを をむなもしてみんとてするなり

との書き出しは有名だが、本の内容をぼくは全く知らない。

 たまには日本古典もいいかなーと青空文庫で読み始めたら、古文文法をまともに勉強していない身にはとても歯が立たなかった。

 途方に暮れたところでタイミング良く出会ったのが、小松英雄著「土左日記を読みなおす: 屈折した表現の理解のために」(笠間書院)だった。

 世にある注釈本はどれもこれもいい加減なものばかりと著者は憤る。正しく読み取るためのポイント解説は実に明快、分かり易い。助詞一つを丁寧に読み取るとそんなに深い意味になるのかと目から鱗がポロポロ落ちること請け合い。

 冒頭に引いた「をとこもすなる日記といふものを~」の部分を「男が書くという日記を女の私も書いてみよう」との解釈を漫然と後生大事に持ち続けてきた。

 そこを、普通の日本語話者なら、この文章おかしいと思わんか!?と著者に叱られてしまった。

金持ちも食べるキャビアというものを、貧乏人の私も食べてみよう。

 という例文を示し、これ、一読して違和感ないか?と。

 つまり、この書き出し部を、まんま現代語訳すると、「普通は女が書くのだけど男も書いていると聞く日記というものを女の私も書いてみよう・・・」てことになってしまう。

 なんでそんなヘンテコな文章を・・・

 不自然な表現は、そこに引っ掛かって、隠されてるウラを見付けてねという作者のメッセージだと著者は言う。それが何かは、本書を読んでのお楽しみ。

 てか、ここでいきなり著者の分析を披露しても、とてもついていけないだろう。それなりの地固めは必要だ。

 「土左日記」は諧謔文というのが世の中の一般解釈だが、とんでもない、紀貫之が後世に書き残したかったのは本当は何であったのかと、本書は推理仕立てで展開していく。

 ぼくのような文法オンチでも楽しく読める。著者の解釈をどこまで受け入れるかは人それぞれ。

 そこまで深読みするかー?と思える解釈披露もないではないが、「テクストを読む」という行為はこういうものであるのかと唸らされる一冊。

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